高山植物図鑑

Alpine plant

  • ハクサンフウロ(白山風露)

    ハクサンフウロ(白山風露)

    科名 フウロソウ科
    観察ポイント 濃ヶ池付近
    開花の期間
    濃ヶ池の周辺でひっそりと咲いている姿が見られます。

    主に亜高山帯に自生しています。その名の白山風露のうち、「風露」の意味するところはナゾ。花は直径3cmほどで、紅紫色の花弁には濃い紅色の筋があります。葉は、手のひら状に5~7深裂。裂片はひし形で、さらに細かく分裂し、先はとがっています。

  • ヤマハハコ(山母子)

    ヤマハハコ(山母子)

    科名 キク科
    観察ポイント ホテル千畳敷付近, 剣ヶ池付近, 濃ヶ池付近
    開花の期間
    全体的に柔らかい印象を受けるこの花は、その名の通り、子を優しく包む母のようです。

    茎の高さは30から70cmほどで、綿毛をつけます。葉は長さが6~9cm、幅は6~15mmで、葉脈があります。白い花弁に見えるところははつぼみを包んでいた葉の部分で、黄色の部分が花にあたります。ハハコグサに似た生態で、山地帯~高山帯の日当たりのよい草地に自生することから、ヤマハハコの名がつきました。

  • ミヤマリンドウ(深山竜胆)

    ミヤマリンドウ(深山竜胆)

    科名 リンドウ科
    観察ポイント 千畳敷カール
    開花の期間
    秋に近づくにつれて、青色系の花が増えてきます。青空と青い花がマッチして、秋の風情が感じられます。

    葉は卵形で長さが5~12mmほど。花は濃青紫色で径15mmくらいの大きさで、陽があたると開花しますが、日没後はもちろん、曇っていたり雨が降っていたりすると花は閉じたままになります。名前の由来は根っこが、熊の胆よりも非常に苦いことから、熊よりランクの高い竜(想像上の動物)の胆の苦さにあてたといわれています。

  • シナノオトギリ(信濃弟切)

    シナノオトギリ(信濃弟切)

    科名 オトギリソウ科
    観察ポイント 千畳敷カール
    開花の期間
    名前の由来とは裏腹に、黄色の花がとても鮮やかです。シナノオトギリの可愛らしい紅葉も必見です。

    茎はほとんどが数本にかたまって生えており、葉を透かしてみると、ごく少数の不明瞭な黒点と明点がある。葉の縁には黒点が並びます。花は「オトギリソウ」の中ではやや大きく、直径20~25mmほどあります。信濃弟切の「オトギリ」は、「鷹匠の晴頼が,鷹を治療するための薬草を秘密にしておいたのに,弟がこれを漏らしてしまったので切り捨てた」という平安時代の伝説の名が付いたそうです。そのとき飛び散った血が花や葉の黒い斑点だと伝えられています。

  • ヨツバシオガマ(四葉塩釜)

    ヨツバシオガマ(四葉塩釜)

    科名 ゴマノハグサ科
    観察ポイント 千畳敷カール, 極楽平, 八丁坂
    開花の期間
    さまざまな高山植物が咲く中央アルプスで、ひときわ目をひく濃い赤と薄紅色をしたツートンカラーのヨツバシオガマが鮮やかに咲き乱れます。

    葉の美しさが和名の由来。「塩釜」とは、海岸に立ち並ぶ塩釜が浜を美しく彩っている景観を指し、”浜”で美しい塩釜が、”葉まで”美しい塩釜に転じて名に用いられたようです。その葉は茎の各節に4枚、ときには3~6枚輪生し、下部には葉柄がありません。花は紅紫色で、上の花弁は先端が細長いくちばし状になります。

  • コバイケイソウ(小梅蕙草)

    コバイケイソウ(小梅蕙草)

    科名 ユリ科
    観察ポイント 千畳敷カール
    開花の期間
    数年に一度しか咲かない花といわれておりますが、緑の植物や黄色いお花の中で背が高く、ひときわ目立つ白いコバイケイソウがお花畑を幻想的な風景として見る人に感動を与えてくれます。

    シュロソウ属の多年生の植物。大型で、群生が目立ちます。花は梅の花、葉は蕙蘭に似ているため、この名がついたようです。花は径8mmほどの大きさ。葉はだ円形で、たくさんつきます。「数年に一度しか咲かない」ともいわれ、にぎやかに千畳敷を彩る年がある一方で、ほとんど花が見られない年もあります。ただ、有毒植物なので注意を。バイケイソウとの区別の仕方は花の色。バイケイソウは緑色です。

  • イワツメクサ(岩爪草)

    イワツメクサ(岩爪草)

    科名 ナデシコ科
    観察ポイント 全域
    開花の期間
    その清楚な佇まいは、とても繊細なイメージを与えてくれます。所々に咲く白い花がまるで夜空に散らばるお星さまのようですね。

    この花は花期が大変長く、直径15mmくらの真っ白な花をつけます。5弁花ですが中央が深く裂けているので、10枚あるように見えます。葉は、細長く15~30mmで、タカネツメクサの葉が針状になっているのに対して、イワツメクサは葉が線形で先が細くなっています。

  • ヒメウスユキソウ(姫薄雪草)

    ヒメウスユキソウ(姫薄雪草)

    科名 キク科
    観察ポイント 極楽平, 本岳
    開花の期間
    中央アルプスの砂礫地だけに生える希少種です。空気中の水分を頼りに生きる姿がなんとも可憐です。

    中央アルプスの特産で、コマウスユキソウとも言います。尾根付近の岩場や砂地に自生しますが、絶滅危惧(きぐ)植物に指定されている、今では稀少な花です。葉には薄く毛が生えます。この葉が変化したものが白い花弁で、綿毛を密生し、中心が花となります。

  • ミヤマキンポウゲ(深山金鳳花)

    ミヤマキンポウゲ(深山金鳳花)

    科名 キンボウゲ科
    観察ポイント 千畳敷カール, 八丁坂
    開花の期間
    ミヤマキンバイ、シナノキンバイと並んで、明るくまぶしい黄色のお花です。この3つのお花は非常に見分けが難しいといわれていますが、どれがどの花か見分けながら散策するのも楽しみの一つです。

    八重咲きの花は直径2.3cmくらいで鮮やかな黄色。その色合いから、鳳凰(古くから中国の伝説にみえる空想上の瑞鳥)を彷彿とさせる花ともいわれます。よくシナノキンバイと間違えられますが、異なる特徴は、茎の上部の葉の裂片が細かい点や花に光沢がある点、花弁の形がそろっている点。葉は3~5裂し、裂片はさらに細かく裂けます。

  • タカネツメクサ(高嶺爪草)

    タカネツメクサ(高嶺爪草)

    科名 ナデシコ科
    観察ポイント 極楽平, 前岳, 中岳, 本岳
    開花の期間
    短い夏の間競い合うように咲く花の中に、涼しげに咲いている姿が可愛らしくも美しくもあり、見ごたえのある花です。

    「爪草」とは、細い葉を鳥の爪に見立てた表現です。花は、茎の先に咲きます。花弁は長だ円形で先は丸く、半透明のすじが3本あり、また花弁の形には幅、長さなどの変異も見られます。茎は多く分枝するので大きな株になり、針状で長さ8~15mmの葉は密生しています。

  • イワベンケイ(岩弁慶)

    イワベンケイ(岩弁慶)

    科名 ベンケイソウ科
    観察ポイント 八丁坂
    開花の期間
    夏の間、岩のすき間に根を張って、強風にも揺るがずに、咲いています。道の脇に身を寄せ合っている姿に思わず笑みがこぼれます。

    弁慶といえば、立ち往生の語源にも登場する武蔵坊弁慶。この花の名は、切り取っても枯れない丈夫さを弁慶に例えてつけられたといいます。雌雄異株。4枚の花弁は、細くやや緑色を帯びた黄色。雄花は径8mmほど、雌花は花弁が短くて貧弱に見えます。葉は多肉で厚く、下部は小さく中部が最大になり、粉白色をしています。

  • クモマスミレ(雲間菫)

    クモマスミレ(雲間菫)

    科名 スミレ科
    観察ポイント 極楽平, 八丁坂
    開花の期間
    普通のスミレを想像していると、高山の岩場でたくましく生きるクモマスミレの姿に驚き感動を受ける方もいるのではないでしょうか?

    以前はタカネスミレに分類されていましたが、葉が無毛である点などの特徴から、タカネスミレの変種として個別化されました。花はキバナノコマノツメとよく似ているものの、葉の形状や草地には生えないことで見分けられます。また無毛の葉は、光沢があり濃緑色で先端はとがっています。