千畳敷カールの気温は、夏真っ盛りの7、8月の最高気温でも20℃くらいの涼しさ。厳冬の2月には最低気温が-20℃を下回ります。そのため、冬はもちろん、夏においても平地の気温に合わせた服装で登ると、大変な目にあうことになります。山を決して甘く見ず、平地の服装よりも厚着をしていくか、重ね着できる服を必ず持参しましょう。

※観光の際の服装です
月 | 最高気温 | 平均気温 | 平均積雪 | カール周辺散策でのおすすめの服装 |
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最低気温 | ||||
1月 | -1℃ | -9.5℃ | 210cm | ●ダウンジャケット ●セーター ●ニットキャップ ●手袋 ●厚手の靴下 ●ブーツなど すみずみまで防寒をしっかりと |
-20℃ | ||||
2月 | -1℃ | -13℃ | 300cm | |
-25℃ | ||||
3月 | 6℃ | -7℃ | 390cm | |
-20℃ | ||||
4月 | 11℃ | -1.5℃ | 390cm | ●長袖 ●ジャンパー ●雪がついてもいい滑りにくい靴 |
-14℃ | ||||
5月 | 12℃ | 3.5℃ | 280cm | |
-5℃ | ||||
6月 | 18℃ | 9.5℃ | 90cm | |
-1℃ | ||||
7月 | 21℃ | 13℃ | - | ●長袖シャツ ●羽織り(薄手は禁物) ●長ズボン ●帽子 ●運動靴(浮石などがあるため足を挫かないよう登山靴かキャラバンシューズがベスト) ●雨具 |
5℃ | ||||
8月 | 20℃ | 14℃ | - | |
8℃ | ||||
9月 | 18℃ | 11℃ | - | |
4℃ | ||||
10月 | 15℃ | 6℃ | - | |
-3℃ | ||||
11月 | 8℃ | -1℃ | 20cm | ●ダウンジャケット ●セーター ●ニットキャップ ●手袋 ●厚手の靴下 |
-10℃ | ||||
12月 | -1℃ | -9℃ | 90cm | |
-17℃ |
登山の服装の基本は重ね着です。厚手のものはあまり必要ありません。
登山時のウェアには、コットン(綿)素材のものは避けたほうがよいでしょう。コットン素材は汗をかいた時に水分を吸収しやすく、なかなか乾きづらいからです。いつまでも濡れたままの状態だと体温が奪われ、体力の消耗が激しくなるばかりではなく、時には低体温症になる危険性があります。そこで、濡れてもすぐに乾き、暖かい素材として、化学繊維(ポリエステル)やウール素材がおすすめです。夏のように暑い時期にはポリエステル、秋などの肌寒いときにはウール素材が最適です。
最低量をコンパクトにまとめ、暑くなれば服を脱ぎ、寒くなれば服を重ね着するなどして、温度を調節することが大切です。
- 雨具(レインコート)
上下セパレートタイプで、ゴアテックスなどの透湿・防水効果のある素材がオススメ。防寒着の代わりにもなり、決して欠かせない重要な装備。 - 帽子
紫外線や熱中症の危険から守ってくれる。降雨に配慮すれば、雨が顔に当たるのをやわらげてくれるキャップが良い。 - 靴
くるぶしまでしっかりとカバーする専用靴の用意を。サイズやメーカーによって履き心地も異なるので、ゆっくり時間をかけて自分の足にジャストフィットするものを選ぼう。ポイントは頑丈さや靴底の滑りにくさなど。 - ザック
日帰りの登山ならばデイパック型(20~30くらい)が適当。雨対策としてザックカバーも忘れずに。 - 手袋
山の寒さや、切り傷・すり傷から手を保護してくれる。各種作業の時にはめる軍手は濡れると乾きにくいのが難点で、登山装備として不向き。
- 救急用品
万が一に備えて装備に加えよう。安心感も得られる。 - ポリ袋
さまざまな用途に使える。濡れたものや、出したゴミなどを入れるのにも適している。 - 食料
ポイントの一つはビタミンCの補給。汗をかくと塩分とともに失ってしまうので、含有するもので補おう。 - 水筒
水分の補給は欠かせない。夏場はペットボトルでも良い。 - 地図・ガイドブック・コンパス
地図を十分に解釈するためにはコンパスが必需品。ワンセットで装備しよう。 - 上着・防寒着・ズボン
- タオル
- ティッシュ
- 健康保険証(コピー)
- その他色々
- 足の裏全体を使って歩くと疲れない(ひきずると疲れやすい)
- 前の人が歩いたあとを歩くのが安全
- 岩場の下では両手を使う
- 落石は大声で知らせる
- リュックを背中にくっつけると良い
- 縦長の荷が背負いやすい
- 急坂ではしがみつかず体を立てる
- 登りより下りが難しい、あせらずゆっくりと
- 山では登りが優先
山の天候
山の天候は急変しやすく、下界と比べて気温も低いので、いつも用心が肝心です。その気温は、夏の日中でも平均12度くらい。日陰へ入ると肌寒く、薄着では寒いため、長袖の上着とズボンが必要です。履き物は最低でも運動靴とし、そのほか手袋や帽子も不可欠になります。必携品ながら忘れがちな雨具については、特にご注意を。サンダル履きや半ズボンなどといった軽装での登山は怪我のもとですので絶対にやめましょう。また、登山中に稜線上での雷に見舞われたら、落雷しやすいので警戒を。雷雲が発生し、日中気温が異常に高くなったり低くなったりした際には、十二分に気をつけてください。

「危険は自分にある」を忘れずに
心臓の悪い人や、高血圧症などの内部疾患のある人、また、体調が優れない人は、気圧が低く酸素も少ない環境下にいる点を踏まえて無理せず登ることが大切です。ロープウェイの利用で簡単に2,600m以上へも登れますが、短時間での登りは身体が順応しにくく、高山病にかかる人も見られます。日々健康に留意し、体調を万全に整えて登山しましょう。霧などが発生した時は、慌てずに晴れるまで待って、辺りの地形や行き先を良く確認してから目的地へ向かってください。また、包帯や救急絆創膏などを持っていくと万が一の際に役立ちます。登山中は常に、「危険は自分にある」ことを忘れず慎重な行動を。

山での病気・体調管理には注意が必要
2,500m以上の高所に登っているとき、体は取り入れる酸素の量に順応しようとします。高度の上げ方が急激だったり、体調が万全ではないと、うまく順応できずに高山病を発症するケースがあります。 足がもつれる、脈が速くなる、頭が痛い・重い、吐き気がする、食欲がない、脱力感がある、胸焼けがする…といった症状が出れば、高山病が疑われます。
対処方法については、症状が軽いようなら、同じ高度で休憩をとりましょう。通常、回復には一晩以上かかります。それでも良くならなければ、山を下って高度を下げましょう。高度を上げるのは厳禁。症状が悪化する危険があります。